続きます、お勉強シリーズ。今回は着物が作られる一番最初の段階を攻めてみようと思います。
だって織り染めの違いとか、紬とか、いろいろ調べてても、最初のこの「糸」の違いがイマイチわからなくてぼんやりした状態だったから。
ここらでしっかりとお勉強したいと思います!
「正絹」・・・読めますか!?
そこ!?って感じですが、読み方、最初はわからんもんですよ。
わたしも漏れなく知らなかったし、でも人に向けて話すこともないもんでそのままにしていたものです。
正絹=しょうけん
でございます。
最初の頃は、調べては忘れ、調べては忘れ、な感じでした。
漢字からしてなんとなく意味もわかってしまうがゆえ、まさきぬ・・せいし(絹は「し」なんて読めないのに)・・?うん!みたいな。流してました。
全然イメージわかなかったんですねぇ、正絹=しょうけん。
ちなみに英語でシルク。
おぉ・・・絹とはシルクだったのか・・・(呆れないで)
絹糸って、どうやって出来るんだ?
「糸」って身近にあるのに、よくわからない人も多いでしょう!!!
お着物に精通してればこのへんの知識もお持ちなんでしょうが、普通に生活していて気にする人なんてそういない。と思いたい。
わたしもな~んにも知らないで30年生きてきました。
糸の中でも「絹糸」とは、蚕(かいこ)が作り出す繭(まゆ)から出来るものなんです。
そう、蚕。かいこ。つまりアレです。インセクト。バグ。・・・虫ですね。
しかしまぁ、最初に言っておくと、この記事かなりハードでした。なにがハードかってわたし、昆虫がホントもう大の苦手。本当に本当に本当にすげ~キライなんす。苦手なんです。なので蚕さんたちの様子を画像で見るのもなかなかの苦行でした。
そんなわたしの記事ですから、昆虫画像は一切出て来ませんので苦手な方もご安心を。
(その代わり今回は文字ばっかです)
さて話を戻しまして、絹糸の製造はつまり、養蚕(ようさん)です。
糸を紡ぐだけのイメージも強いかもしれませんが、その前に蚕を育てる必要があるわけです。
順を追って見ていきましょう。
まずは桑(くわ)の葉を育てます
桑(くわ)の葉とは蚕のエサとなる葉っぱです。
蚕を育てるなら当然エサが必要ですからね。
ちなみに余談ですが、桑とは英語でマルベリーだそうですよ。
あまり日本では馴染みがないように思いますが、中国では漢方に使われたりもするそうで。
へぇ~、ですね。
着物に話を戻しますが、驚くことなかれ。
着物一枚つくるのに、蚕のエサとして必要となる桑の葉の重量はなんと100kg!
すごくないですか?
フッツーの葉っぱですよ、一枚の重量なんてたかがしれてます。
それが100kg、100gじゃないですよ、100kg・・・!すごい量ですよね。
蚕(かいこ)を育てる
登場です、お蚕様。
ほんと全身の筋肉をこわばらせながら調べました。
これもちょっと余談ですが、なにやらネットでは蚕カワイイと一部で人気みたいですね・・・
蚕(かいこ)とはカイコガという、要は蛾なんですが、完全に家畜化している昆虫のため野生で生きることはできません。
成虫になっても羽ばたけず、蝶のようなくちばしもなくそもそも食事ができないんですって。
(このあたりがカワイイの理由だそうで・・・見た目もふさふさしてるから・・・う~ん)
交尾をしたあと1週間ほどで死んでしまうそうです。
養蚕が盛んだった昭和では、養蚕農家の貴重な収入源であった蚕は「おかいこさん、お蚕様(おかいこさま)」と呼ばれ蚕が神格化されていました。蚕はもう神様だったんですね、八百万の神様信仰のある日本らしい表現だと思います。
繭から生糸を作り出す
繭とは、蚕の幼虫が成虫となるために細い糸を吐き出して作られるドーム状のもの。
これは画像で見ても平気ですね。
さて、ここでも驚きの数字。着物一枚つくるのに必要となる繭の量はなんと5kg!
繭ひとつの重さが約1gですから、個数で言うと5000個ちかく必要なわけですねぇ。
そりゃ着物も高くなりますわ。
原材料に加えてさらに何人もの職人の手がかかり・・・納得ですね。
さて、繭からどうやって糸ができるのか。
大まかな工程は以下のとおり。
- 繭を乾燥させる
- 繭を煮る煮繭(しゃけん)
- 繭から糸をよりあわせる繰糸(そうし)
- より合わせた糸を乾燥させる
- 揚返し(あげかえし)
先述したとおり、繭の中のサナギを殺します。また乾燥させることでカビや腐敗などを防ぐ目的も。
煮ることで繭をやわらかくし、解きほぐしやすくします。
いくつかの繭からのほそいほそい糸をよりあわせ、一本の糸を繰り出していきます。
仕上げにまた乾燥です。煮繭しやわらかくなっていた繭糸が再度乾燥することで固まり強い糸となるのです。
まだ糸は引き延ばされた状態で乾燥していますので、本来の状態に戻す工程です。これにより伸びのある切れにくい糸が生まれます。
掘り下げればもっと複雑な説明が必要になりますが、ここではイメージをわかせるためということでこのへんにとどめておきます。
つまり繭からチロチロ~と糸をより合わせて出来るんですよ、絹糸って。
いまは機械で繰糸しますが、こちらは手作業でされているお写真。
わかりやすいなと思いお借りしましたが、画像からたどり着いた記事がとてもおもしろかった。
是非一読されてみてください。
正絹(しょうけん)とは絹100%ということ
長々と説明しましたが、100%絹糸を使って織られている布が「正絹」だということです。
使われている糸がすべて絹糸だということです。
じゃあ正絹でない着物って?
たとえば木綿や麻、ウール、もっといえば化繊なんかが該当しますね。
今回は「正絹」についてのお話でしたのでここまでにしますが、その先が存在し、むしろ着物の種類で言うならその先が大事だったりします。
実は前項で説明した糸の製造工程は「生糸」(きいと)と呼ばれるものであり、絹糸の一種になります。
生糸を製造する過程で分岐して紬糸となるのですが、長くなりますのでそれはまた近々。
コメント